「バッテリー」はU-NEXTで2021年3月6日 23:59まで配信しています。2020年9月27日現在見放題です。
「バッテリー」を観た感想を書いていきたいと思います。
「バッテリー」のあらすじ
U-NEXTで観ることができる「バッテリー」のあらすじは、祖父の住む山あいの街、新田市に家族と移り住んできた原田巧は、ピッチャーとして抜群のセンスを持っている少年でした。
同学年の永倉豪と出会い、彼が捕手であることを知った巧は、豪に投げてやろうかと提案するのでした。
巧は、自分の豪速球の球を受け止めることができる豪と、バッテリーを組むことになりますが、次々といろんな問題が立ち塞がります。
ときには、互いの意見が合わずに対立したりしながら、巧と豪はバッテリーとして次第にバッテリーとして成長していくのでした。
「バッテリー」のいいところ
U-NEXTで好評の「バッテリー」のいいところは、巧と豪を通して青春のリアルさが描かれているところです。
青春とは、ときには思い通りにいかないのだということも、この作品では丁寧に描いています。巧が野球部の入部届けにサインをもらうシーンでは、ただ野球がしたいだけではダメだということを教えてくれます。
家族や周囲の人の支えがなくては、野球をすることはできないということを巧が学び、大人の考えに成長していく姿が印象的でした。
そして、豪とバッテリーを組んでいることは、決して彼が捕手として優秀だからではなく、豪だから任せられるのだという信頼感が伝わってきて、友人の大切さを改めて感じさせてくれます。
野球を題材にしていると、単に技術が身についたり、強豪校との対決などが見どころになりがちなのですが、この作品では人としての成長にスポットが当たっていて、そこがとても素晴らしかったです。
「バッテリー」のいいところ
ですが、少し残念なのは投球シーンの迫力が少し足りなかったことです。
リアルさを追求したら、確かに中学生が投げる球なので、豪速球とはいってもそこまで派手なものではないのかもしれませんが、やはり野球シーンも見せ場だったので、もっと丁寧に描いて欲しかったと思います。
更に、キャッチャーがボールをこぼすシーンが、とても下手くそに見えてしまい、仕方がありませんでした。もっと演出が変わっていたら、きっともっと違う印象になったと思います。
日常の描写とのメリハリがあった方が、もっと迫力のある作品になったと思うだけに残念です。
巧の内面はもっと掘り下げて描いて欲しかったという気持ちもあります。
野球にすべてを注ぐ姿は、とても輝いて見えましたが、チームメイトとの関わりかたや、周囲に対して変化していく様子があっさりだったので、見方を変えると、彼がただ単に周囲を振り回しているだけのような印象にもなります。
豪とのシーンだけでなく、他のシーンでも巧の良さを出して欲しかったです。
「バッテリー」の声優
U-NEXTで「バッテリー」に夢中になったのは、その出演者の魅力にもあります。アニメ作品に感情移入できるかどうかは、声優のキャスティングによって大きく変わります。
その点では、巧を演じた内山昴輝さんと、畠中祐さんのキャスティングはピッタリだと思います。
特に、孤高の存在である巧は、演じかたによっては冷たい印象を抱かせてしまいます。ですが、内山昴輝さんの繊細で細やかな演技によって、巧が次第に変わっていく姿がとても瑞々しく映ります。
U-NEXTで配信されているアニメ作品は、高クオリティの作品が多いのですが、逆に数々の作品に出演している声優さんが「バッテリー」に参加していたのが、少しだけマイナスに感じました。
瑞垣俊二役の木村良平さんや、門脇修吾役の小野友樹さんなど、人気も実力もある声優さんが脇を固めるのは、とてもいいのですが、逆に様々なキャラクターが浮かんできて、作品に集中できないことがありました。
逆に新人の声優さんたちで固めた方が、もっとリアルに感じることができたのかと思います。
「バッテリー」の原作
U-NEXTで配信されている「バッテリー」がここまで人気を集めたのは、単に、原作が人気小説だからではないと思います。
野球を通して、1人の少年がある意味運命の出会いをして、野球に打ち込んでいく青春群像劇を、優しく強く描いた作品だと思います。
青春は、決して綺麗なだけではないし、大人と子供の考え方や意見の違いなどを通して、成長していくとはどういうことなのかを教えてくれます。
誰もが経験してきた、かつての青春時代の記憶を呼び覚ましてくれる作品でもあります。
小説とは違う、アニメならではの表現が見れるのも魅力の1つです。僅かな表情の変化や、些細な仕草が、よりリアルに伝わります。
巧と豪が衝突しながらも、互いを無二の存在として認め合い、やがて最高のバッテリーへとなっていく姿は、彼らが少しだけ大人になっていく姿を見せてくれます。
あさのあつこさん原作で、2007年には実写映画化された「バッテリー」を、これまで知らなかったという人は、この映画で青春の頃を思い出して欲しいですし、原作も映画も観たことがあるという人も、U-NEXTでこの作品をもう一度観て、新たな発見をして欲しいと思います。